任意整理の手続きの流れ・必要な物

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任意整理の流れ

任意整理とは

任意整理とは裁判をせずに交渉で毎月の支払いを減額し、3~5年で借金を完済できるよう借金を減額・整理することです。

通常、借金の支払いを減額したい場合は、お金を借りた債権者(消費者金融やカード会社などの貸金業者)と直接交渉するか、裁判所を通じて話し合いをする必要があります。

任意整理をすることにより、債務者(あなた)に代わって弁護士・司法書士が債権者と交渉をし、金利のカットをした上で、借金の返済額や分割回数を決めるため、支払いを楽にすることができます。

「こんなに支払うと生活が成り立たない!」ということを弁護士・司法書士が代弁してくれるので、債権者と直接やり取りする必要がなく、裁判をせずに和解契約を締結してくれるというメリットがあります。

任意整理の流れ【7ステップ】

01.弁護士・司法書士への相談

初回無料相談の事務所が多いので、まず気軽に相談してみることをオススメします。

02.弁護士・司法書士と契約締結

司法書士に依頼するメリット

司法書士に依頼するメリットは、弁護士に比べると費用が比較的安いということです。弁護士は「着手金」と「解決報奨金」の両方の費用が発生しがちですが、司法書士はどちらからは無料という事務所が多くあります。

デメリットは借入先1社につき140万円を超える借金額は取り扱うことができないということです。A社から100万円、B社から80万円の借金がある場合は合計180万円となりますが、この場合は1社あたり140万円以下となるので、司法書士(正確には認定司法書士なら)でも対応可能となります。

弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼するメリットは、借金に制限がないため、司法書士と違って金額で対応できる/できないということはありません。また任意整理が難しいと判断された場合、他の債務整理(個人再生や自己破産)へとそのまま移行できる点もあります。

弁護士は司法書士と違って対応可能は業務が広いため、どの債務手続きも制限なく対応できます。ただ、対応業務が広い分、費用が司法書士に比べて高くなりがちというデメリットがあります。

03.必要書類の準備

必要な書類の準備を行います。何が必要になるのかは後述していますので、ご確認ください。

04.債権者へ受任通知の送付・取引履歴の開示請求

委任契約を締結した後、弁護士・司法書士は貸金業者などの債権者に対し、受任通知(介入通知)を送付します。この通知の送付すると、債権者は債権者へ取り立てができなくなります。

貸金業者は「貸金業法21条1項」により、債権回収会社は「債権管理回収業に関する特別措置法(通称サービサー法)第18号第8項」により、受任通知が送付された時点で債務者への取り立てが禁止され、債権者と話がつくまで返済がストップします。

またこの時点で債権者に対して、取引履歴の開示も請求します。

それぞれの一般的な期間は、委任契約してすぐに受任通知の送付と取引履歴の開示請求が行われ、取引履歴が2週間~1ヶ月後に債権者から弁護士・司法書士事務所宛に届きます。

この取引履歴をもとに借入状況を計算し任意整理の手続きを行う形になります。

05.取引履歴から引き直し計算

引き直し計算とは、利息制限法に基づき利息の計算をし直すことをいいます。上限金利(15~20%)に基づく引き直し計算を行い、正しい借金の額を確定します。

これにより過払い金があるかを確かめることができます。過払い金が発生している場合には、債権者に過払い金の返還請求ができます。

債権者から取引履歴の開示がなされなかった場合は再度開示を請求するか、その他の資料に基づいて推定計算を行います。現在では取引履歴の全部を開示しない貸金業者はほとんどいないので、このケースは滅多にないでしょう。

06.債権者と交渉して和解案の提示

取引履歴から引き直し計算をし、過払い金の発生有無を確認した後は、任意整理案を作成し、債権者と減額交渉を行います。

任意整理案の作成

任意整理案は債務者の経済状況や周囲の援助の有無などを総合的に判断し、1ヵ月あたりの返済可能な金額を計算します。

また将来発生する利息の免除や元本の減額といった条件を記載して和解を目指します。和解に応じてもらえるのは、3年(36回)~最長5年(60回)払いで借金が完済できる場合です。

任意整理案の作成段階で任意整理は不可能という結論に至る場合あがります。この場合は「個人再生」や「自己破産」への移行を検討することになります。

減額交渉(和解交渉)

任意整理案をもとに、弁護士や司法書士が各債権者と個別に交渉して、合意を目指します。

交渉の際は、一方的に債務者に有利な条件を提示しても、債権者の合意は得られないので、期限の利益喪失約条項を設けるなど、債権者への譲歩が必要になってきます。

交渉をしていくなかで、債権者が債務者の収入を把握するために説明を求められることがありますので、収入状況が分かる資料などの提出をする必要があります。

07.和解案の送付と返済の開始

債権者との話し合いがまとまれば、債権者と和解契約を書面で締結します。合意書(和解契約書)には交渉で決まった支払い条件が記載されているので、これに債権者・債務者の双方が記名捺印して、各自1通ずつ保管する必要があります。

和解の後、債務者は借金を債権者に返済していくことになります。事務所によっては債務者が事務所宛に支払い、事務所が債権者に支払いを行う返済代行を行っている所もあります。返済先が多岐に渡る場合に手間がかからないというメリットがあります。

和解案に従った返済が難しい場合は債権者と協議することになり、場合によっては自己破産手続きに移行することもあります。

任意整理で必要な書類

任意整理で必要になる書類、用意しておきたい書類をまとめました。

身分証明書・住民票・印鑑

運転免許証や保険証など、本人確認ができる身分証明書が必要になります。住民票は本籍記載のものが必要になるので、準備しておくようにしましょう。印鑑は契約書を締結する際に使うので、シャチハタではない印鑑が必要です。委任状や契約書に捺印をする必要がありますので、忘れずに持って行きましょう。

債権者一覧表

弁護士・司法書士が債権者と直接やり取りを行うため、債権者の情報が必要になります。具体的には債権社名、住所、電話番号、FAX番号、最初の借入日、借入額、現在の債務額、月々の返済額、使途・目的などを、債権者ごとにまとめる必要があります。債権者一覧表は相談をする際に手渡されることが多いですが、以下の裁判所のホームページからも入手できます。

債権者一覧表(一般債権) PDF版

全て正確に記載するのは難しいと思いますので、覚えている範囲で記載するようにしましょう。

キャッシングカードやクレジットカード

任意整理を行うと消費者金融のカードは使用できなくなります。信販会社へ返還する必要があるため、忘れずに持っていくようにしましょう。

預金通帳

現在保有している金融機関の預金通帳が必要になります。取引履歴を把握する必要があるため、通帳記帳をしてから持っていくようにしましょう。

源泉徴収票または確定申告書

源泉徴収票は年末調整を行った後に、給与と一緒に手渡しされる紙で、収入を証明するための書類が必要になります。源泉徴収票は手元になくても会社で再発行をしてもらえるので、依頼するようにしましょう。

その他

不動産を所有している場合は不動産の登記簿謄本、生命保険に加入している場合は生命保険証券、勤務先に退職金制度がある場合は退職金の見込み額がわかる書類が必要になります。

任意整理の費用相場

費用は相談料・着手金・解決報酬金・減額報酬・過払金報酬の4つで構成され、相談料は無料としている所が多く、着手金・解決報酬金は1社あたり2万円~3万円が相場となります。

減額報酬や過払金報酬は10%~15%が料金相場となります。

費用金額
相談料0円
着手金/社3万円
解決報酬金/社2万円
減額報酬10%
過払金報酬15%

任意整理の費用相場は詳しく下記にまとめております。実際の弁護士・司法書士事務所の料金相場を掲載したり、費用を削減する方法を掲載しておりますので、ぜひご確認下さい。

任意整理の手続きが完了するまでの期間

任意整理を依頼してから手続きが完了するまでは、3~5ヵ月程度です。債権者数、債務額により期間が大きく変わります。また債権者との交渉がまとまらないと半年以上かかる場合があります。

任意整理を早く終わらせたい場合は、債権者が和解に応じてくれるような和解案・返済案を立てることが重要なので、ある程度妥協が必要になるかもしれません。

任意整理後の返済に関する注意点

自己破産しないために

任意整理後に和解契約書で決めた支払いができなくなった場合、もう一度支払い条件を変更してもらうのはほぼ不可能となります。

支払いが困難になった場合、自己破産しかない、という場合がありますので、毎月の返済額を確保できるよう、しっかりと収支管理を行いましょう。

5年間ブラックリストに載る

任意整理した後、5年程度はブラックリストに載るので、借金やローンをすることはできなくなります。

しかし、任意整理時に一部カードを手元に残すことができるので、残っているカードで他社から借入できる状態になる場合があります。

ただ任意整理したのに、新たに借金が増えてしまうと、和解契約書で決めた支払いが困難になる可能性があるため、借金を完済するまでは、追加の借金をしないようにしましょう。

まとめ

「任意整理」は「個人再生・自己破産」に比べると裁判所を通さないので、比較的簡単な手続きとなります。ただ話し合いがメインになるため、場合によっては交渉がまとまらず長引く場合もあります。

弁護士・司法書士事務所の多くは初回相談料無料となっているところがあるので、まずは一度相談してみると良いでしょう。

任意整理

任意整理

3~5年で借金を完済できるよう将来の利息をカットする手続きです。

個人再生

個人再生

3~5年で借金を完済できるよう、借金を5分の1に減らす手続きです。

自己破産

自己破産

全財産を現金に換金した上で、借金の支払い義務をなくす手続きです。