任意整理の費用相場・料金体系

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任意整理の費用相場

任意整理とは

任意整理とは裁判をせずに交渉で毎月の支払いを減額し、3~5年で借金を完済できるよう借金を減額・整理することです。

通常、借金の支払いを減額したい場合は、お金を借りた債権者(消費者金融やカード会社などの貸金業者)と直接交渉するか、裁判所を通じて話し合いをする必要があります。

任意整理をすることにより、債務者(あなた)に代わって弁護士・司法書士が債権者と交渉をし、金利のカットをした上で、借金の返済額や分割回数を決めるため、支払いを楽にすることができます。

「こんなに支払うと生活が成り立たない!」ということを弁護士・司法書士が代弁してくれるので、債権者と直接やり取りする必要がなく、裁判をせずに和解契約を締結してくれるというメリットがあります。

任意整理の費用相場

料金体系の仕組み

相談料・着手金・解決報酬金・減額報酬・過払金報酬の4つで構成されます。

相談料

任意整理を依頼する前の相談で発生する費用です。初回は相談料無料、2回目以降30分5000円としている弁護士・司法書士事務所が多く、2回目の相談料も「契約したら無料」としている所が多いという特徴があります。

相談では「任意整理でどのくらい借金が減るか?」「過払い金が発生しているか?」を教えて貰えます。

着手金

任意整理を依頼することを決めて、契約締結したときに発生する費用です。着手金無料の事務所がありますが、有料の事務所は成功するかしないかに関わらず発生します。分割払いが可能な事務所もあります。費用が掛かる場合は借入先1社あたり〇円という形で費用が発生します。

解決報酬金

任意整理が成功したときに支払う費用です。報酬金0円の事務所も多く、費用が掛かる場合は着手金同様、借入先1社あたり〇円という形で費用が発生し、原則1社あたり2万円以下と決められています。

減額報酬

減額報酬とは、利息制限法で借金を再計算して減った金額(当初の借金と計算後の借金の差額)に対して歩合で発生する費用で、原則10%以下と決められています。

例えば依頼前に500万円あった債務が、依頼して再計算を行ったところ400万円に減ったとします。100万円が減額されたので減額報酬金が10%なら10万円が費用に加算されます。

減額分がない場合は基本的に費用は加算されませんが、稀に最低報酬を設定している事務所があり、その場合は減額分がなくても費用が発生するので注意が必要です。

過払金報酬

過払金報酬は、利息制限法の定める利率を超える高利の借入れをした債務者が、法律上借入金の返済は終わったのに返済を続けたため払い過ぎたお金のことで、このお金に対して歩合で発生する費用です。任意整理を行うことにより、過払い金が見つかる可能性があります。

減額報酬同様、過払い金が50万発生し、過払金報酬が10%の場合、5万円が費用に加算されます。

弁護士・司法書士へ依頼した際の費用相場

任意整理は弁護士または司法書士に依頼する流れになります。

司法書士の場合は借入先(消費者金融やカード会社)1社につき140万円を超える借金額は取り扱うことができないため、弁護士に依頼される方が多いのが現状です。ただ、司法書士は弁護士に比べると業務範囲が狭い分、費用が安い、というメリットがあります。

費用金額
相談料0円
着手金/社3万円
解決報酬金/社2万円
減額報酬10%
過払金報酬15%

実際の費用例-1

1社から100万円あった借金が、利息制限法で再計算すると借金が50万円に減額され、さらに過払金が30万円発生した場合(借金は100-50-30=20万円)で相場の料金体系に当てはめた場合の費用。

費用金額
相談料0円
着手金3万円
解決報酬金2万円
減額報酬5万円(50万円×10%)
過払金報酬4.5万円(30万円×15%)
合計支払額14.5万円

上記の相場例は1社あたりの費用となります。借入先が数社になる場合、着手金や解決報酬金がその分変わりますので、ご注意ください。

実際の費用例-2

A社から100万円、B社から200万円の借金がある場合で、相場の料金体系に当てはめた場合の費用。

費用金額
相談料0円
着手金6万円(3万円×2社)
解決報酬金4万円(2万円×2社)
減額報酬0円
過払金報酬0円
合計支払額10万円

各団体が定める報酬の費用相場

実際に司法書士や弁護士に依頼してみて、任意整理の費用が適切かどうかわからない場合は、司法書士なら日本司法書士会連合会、弁護士なら日本弁護士連合会または弁護士会法律相談センターの料金体系を参考にしてみても良いでしょう。

団体名任意整理の報酬
日本司法書士会連合会1社5万円以下
(着手金・成功報酬など名目を問わない)
日本弁護士連合会着手金 上限なし
解決報酬金 1社2万円以下
減額報酬金 10%以下
弁護士会法律相談センター着手金 1社2万円
解決報酬金 1社2万円

日本弁護士連合会は着手金に上限を設けておりません。それもあってか、弁護士事務所の着手金は事務所によってバラバラです。減額報酬金を10%以下としておりますが、これは比較的最近策定されたため、15%~20%の事務所が多くあります。

大手事務所の任意整理の費用相場

弁護士事務所の費用相場

事務所名着手金/社解決報酬金/社減額報酬/社
アディーレ法律事務所43,200円10,800円10.8%
東京ミネルヴァ法律事務所50,000円20,000円0%
アース法律事務所20,000円20,000円10.8%
弁護士法人アドバンス40,000円0円10.0%
イストワール法律事務所30,000円16,000円9.5%
弁護士法人東京ロータス法律事務所20,000円20,000円10.0%
名村法律事務所25,000円20,000円10.0%
弁護士法人サンク総合法律事務所49,800円19,000円10.0%
弁護士法人天音法律事務所60,000円30,000円0%

司法書士事務所の費用相場

事務所名着手金/社解決報酬金/社減額報酬/社
司法書士法人みつ葉グループ50,000円0円0%
アース司法書士事務所27,000円0円0%
はたの法務事務所20,000円0円10.0%
ウィズユー司法書士事務所0円50,000円0%
新大阪法務司法書士事務所0円20,000円10.0%
おおぞら司法書士事務所0円30,000円0%

任意整理の費用を抑える3つのポイント

  • 司法書士に依頼する
  • 分割払い・後払い可能な事務所を選ぶ
  • 法テラスを利用する

司法書士に依頼する

司法書士とは登記・供託を扱う資格なので債務整理全般を行うことができませんが、弁護士人口の不足を補うため法務省の認定を受けると認定司法書士として、債務整理に関わる法律相談、交渉、訴訟ができるようになります。

基本的には、司法書士に債務整理(任意整理)を依頼すると、着手金や解決報酬金のどちらかが不要になる場合が多く、弁護士に依頼するよりも安くなる傾向があります。

ただ上述したように、司法書士の場合は借入先1社につき140万円を超える借金額は取り扱うことができません。(1社から100万ずつ合計5社から500万の借金の場合は対応可能)

また弁護士に比べると対応業務が狭いので、任意整理が難しいと判断された場合、個人再生や自己破産を検討することになりますが、専門は弁護士の分野となります。弁護士の方が高くなる可能性があるものの、債務者をトータルサポートできるというメリットがあります。

分割払い・後払い可能な事務所を選ぶ

分割払い可能な事務所は多くあり、稀に後払い可能な事務所もあります。後払い可能な事務所は着手金を0円にする代わりに、解決報酬金の割合を10%から20%に上げる、という事務所があったりするので、合計の費用が増える可能性があり、注意が必要です。

あくまで支払いが楽になるだけで、任意整理の費用が安くなるわけではありませんが、手元に資金がない方が分割払いや後払いに対応している事務所を選ぶ方が良いでしょう。

法テラスを利用する

法テラスとは国が設立した機関で正式名称は「日本司法支援センター」といいます。47都道府県に支所があり、弁護士や司法書士による無料相談が受けられるだけでなく、法テラスの民事法律扶助制度を利用することができます。

民事法律扶助制度とは弁護士費用や司法書士費用の立替の制度で、任意整理にかかる費用を法テラスが全額立替払いしてくれます。

債務者は弁護士・司法書士ではなく、法テラスに対して、月々の分割払いで立替金を返済することができ、月々1万円が原則ですが、5,000円程度の支払いに調整することもできます。

借金が減ったり任意整理の費用が減るわけではありませんが、少額の分割払いができ、利息がないので毎月の返済が楽になるメリットがあります。

また返済が難しい場合は、返済の猶予や、免除の制度もあります。

法テラスが負担してくれる費用の目安

借入先実費着手金
1社10,000円32,400円
2社15,000円48,600円
3社20,000円64,800円
4社20,000円86,400円
5社25,000円108,000円
6~10社25,000円151,200円
11~20社30,000円172,800円
21社以上35,000円194,400円

実費とは、裁判所に納付する印紙代、鑑定費用、記録謄写料、交通費などです。任意整理の場合は裁判を通さないため、基本的にはこのような費用はかかりません。

法テラスを利用するデメリット

収入や財産が一定以下でなければ利用できず、審査に2週間ほどの時間がかかります。また弁護士や司法書士を自分で選ぶことができないので、指定された専門家に依頼する必要があります。

最大のメリットは分割払いができることですが、そもそも多くの弁護士・司法書士事務所では分割払いが可能だったりするので、法テラスを検討するときは、依頼したい専門家が分割支払いに対応していないとき、といったところでしょうか。

法テラスを検討される方は下記の公式ページを参考にしてもらえればと思います。

費用を立て替えてもらいたい|法テラス

まとめ

任意整理を弁護士・司法書士に依頼した際の費用相場をまとめましたが、一番重要なのは任意整理を依頼してどれだけ借金が減ったか、ということです。

弁護士・司法書士は士業という職業柄、法外な費用がかかるような事務所はありません。ただ着手金や解決報酬金・減額報酬金は自由に料金設定ができるため、事務所によって価格帯がバラバラです。

しっかりと事務所の料金体系と強み・弱みを把握した上で、任意整理をお任せする弁護士・司法書士を選ぶようにしましょう。

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