自己破産の条件
借金の支払い義務が免除されるためには、この2つの条件を満たしている必要があります。- 借金が支払えない状態であること
- 借金をした理由や経緯が正当であること
借金が支払えない状態であること
借金返済に当てるための財産を持っていない、借金返済に当てる金銭の調達が難しい、返済が滞っている、継続的・客観的に見て返済能力がない、という状態になると、「支払い不能」としてみなされます。
「借金があるが返済が難しいので自己破産したい」といったフランクな気持ちでは自己破産はできません。他の財産の売却や家族・友人からの金銭の調達等ができるのであれば、まずそれを行ってから、という流れになります。
「支払い不能」の判断の目安は、借金を3年で返済できるかどうかになります。借金額が少なくても病気などで働けない方は「支払い不能」として判断されたりします。
「支払い不能」と判断されると自己破産することができますが、次の要件を満たしていないと、自己破産しても借金が残ってしまいます。
借金をした理由や経緯が正当であること
借金をした理由や経緯が正当でない場合は、免責不許可事由にあたり、借金の支払い義務が発生します。
免責不許可事由に該当する要件
- 財産隠し、財産の不当処分
- 書類の破棄、改ざん
- 一部の債権者にのみ返済
- 浪費やギャンブル、飲食などによる借金
- 自分の収入を偽ってお金を借りた
- 債権者を偽る行為
- 破産管財人等の業務の妨害、非協力的な行動
- 過去に自己破産してからの期間が7年未満
免責不許可事由に該当するからといって必ずしも借金が免除されない、ということはありません。借金の原因がギャンブルなどの浪費であっても、免責許可が得られ借金が免除される(=チャラになる)というケースは多くあります。
実際に自己破産は96%が免責許可を得られています。裁判官が免責許可を決定するため、裁判所に出頭し事情聴取を受ける際に誠実な態度と反省を示せば、借金の理由がギャンブルや浪費であっても、免責許可される可能性が十分にあり、これを裁量免責と呼びます。
免責許可されても支払い義務が残るお金
- 税金(所得税、市県民税、健康保険料、社会保険料など)
- 罰金(違法駐車やスピード違反等の反則金など)
- 不法行為に基づく損害賠償請求権(詐欺行為、交通事故など)
- 民法で定める扶養義務で生じる費用負担に関する請求権(婚姻費用分担金、養育費など)
- 雇用契約に基づいて生じる返還請求権(未払給与、退職金など)
- 故意に債権者名簿に記載しなかった請求権
公的な税金や罰金、故意の過失によるお金は免責の対象にならないため、自己破産後にも支払う義務があります。