2019.11.23

連帯保証人死亡後の債務や相続放棄・解除などの対処法を徹底解説

連帯保証人死亡後の債務
アース法律事務所

連帯保証人とは

借金をした本人の保証をするという以外に、連帯保証人について正しく理解している人は実は多くはありません。まずは、連帯保証人とはどういうものかと保証人との違いについて正しく理解する必要があります。

保証人と連帯保証人は借金をした本人の証明をするとともに、その本人が借金を返済できなくなった際に返済を肩代わりする義務を負います。しかし、連帯保証人と保証人では以下のように責任の重さが全く異なります。

  • 貸金業者の返済請求に対し、保証人は主債務者への請求を主張できるが、連帯保証人は主張ができない
  • 返済能力と資産があるにも関わらず主債務者が返済を拒否した場合、連帯保証人は主債務者に返済能力や資産があってもこれを拒否できずに借金の返済義務が発生
  • 保証人は何人か存在していれば頭数で割った金額のみの返済で済むが、連帯保証人は何人か存在していたとしても全員に全額返済義務がある

このように、保証人と連帯保証人では責任の重さが全く異なるため、連帯保証人になってから返済の義務が生じた時に、返済の目処が立たず、生活苦を強いられたりするケースが跡を絶ちません。そういった自体を防ぐためにも、連帯保証人の死亡後の債務や相続放棄のメリット・デメリットなどを正しく理解しておきましょう。

連帯保証人死亡後の債務はどうなる?

親や配偶者の死亡後、連帯保証人になっていたことが判明した場合、その債務はどうなるのでしょうか。結論から言うと、子供などの相続人は連帯保証人の債務もそのまま受け継ぐことになります。

連帯保証人として債務を相続する場合には、法定相続分で相続し、借金も均等に分割されて支払の義務が発生します。法定相続分とは、被相続人(遺産を残し死亡した人)の財産を相続する際、相続人(配偶者や親、兄弟など)の取り分として法律上定められた割合を言います。

被相続人の配偶者は常に一番近い相続人になるため、2分の1の返済義務、被相続人の子供や孫は4分の1の返済義務となるなど、割合は被相続人から数えて順位が決められています。

ここで、自分以外の兄弟が相続放棄したり、すでに子や孫が死亡していた場合などは順位が変わり割合も変わりますので注意してください。

遺産分割協議書などを取り交わすことで、相続放棄せずとも支払いをしなくて良いことになる場合もありますが、遺産分割協議書とは相続人同士の取り交わしなので、連帯保証人の債務が消えたわけではありません。

連帯保証人の相続放棄は可能?

相続をする前に連帯保証人になっていることが分かれば、相続が発生してから3ヶ月以内に相続放棄を行うことで債務を受け継ぐ必要がなくなります。しかし、相続放棄をすることで借金のようなマイナスの財産だけでなく、遺産などのプラスの財産もすべて相続することはできなくなるなど、注意点もあります。

プラスとマイナスの財産を整理し、見極めた上で相続決定

連帯保証人という事実が判明すると、他の財産を確認せず即座に相続放棄を行おうとする方が多くいます。しかし、まず確認してほしいのは、連帯保証人として相続される債務と被相続人の財産どちらが多いかという点です。

積極財産(プラスの財産)が消極財産(債務)よりも大きくなるのであれば、借金をすべて精算したところでプラスの相続財産は残ります。相続放棄をせずに連帯保証人としての債務も相続した方が結果的に得というケースも多く見られるため、債務があるということで慌ててはいけません。

相続対象は連帯保証人の権利以外にも、預貯金、土地、建造物、家や車などがあり、相続放棄をすることでそれらも一切相続することは出なくなります。そういった前提も踏まえ、プラスとマイナス両方の財産をすべてテーブルに並べ、得と思われる判断を取りましょう。

相続方法には、すべての権利と債務を相続する単純承認と、共同相続人全員の同意のもとでプラスの部分のみを相続する限定承認の2パターンどちらからを選択することが出来ます。

3ヶ月以内の相続放棄期限が過ぎていた場合

被相続人が連帯保証人になっているという事実は、多くの場合家族や親戚などにも内緒にされています。それは単純に、借金を全額肩代わりしなくてはならない事態になる可能性のある立場を引き受けたことが、かなりリスキーで賛同されないことだからです。

そのため、遺産相続がすべて終わってから金銭消費貸借書を発見し連帯保証人であることが判明するようなケースは少なくありません。しかし、その時点で3ヶ月を過ぎていれば、相続放棄はできなくなっています。

ただし、連帯保証人の事実が発覚したタイミングで相続放棄をしたいと思った時、絶対にできないのかといえば可能性はゼロではありません。最終的には裁判所の判断になりますので、一度弁護士に相談してみると良いでしょう。

親や配偶者などの家族が連帯保証人かどうか判断する方法

連帯保証人の責任が重大であることが分かったところで、親などが連帯保証人であるかどうかを確認する方法についてもチェックしておきましょう。

金融機関からの借り入れの連帯保証人

よくあるパターンとして、被相続人の友人や知人が借金をしており、その借金の連帯保証人になっているという場合、連帯保証人の地位は相続されてしまいます。相続放棄をしない限りは連帯保証人の債務も相続しなくてはなりません。

被相続人の友人や知人が借金の返済をしない、または出来ないと、相続人に支払いの請求が来てしまいます。最悪の場合、借金の請求書や取り立てが来て初めて連帯保証人であるという事実が発覚することもあります。

不動産など賃貸契約の連帯保証人

不動産で部屋を借りる際に連帯保証人が必要な場合があり、被相続人が賃貸契約の連帯保証人になると、連帯保証人としての義務が発生してしまいます。借り主の家賃滞納や何かしらのトラブルで請求された費用を支払わないようなケースでは、連帯保証人に支払い請求が来ます。

家賃の3ヶ月滞納は遅延損害金と言われ、未払い家賃から最大年利14.6%の追加請求があることも多く、被相続人にかなりの負担がかかってしまうでしょう。これを相続していた場合には、もちろん相続人に請求義務が引き継がれます。

賃貸契約の更新時に連帯保証人として署名捺印していなくても、契約の時点で連帯保証人になっていればその責任が消えることはありません。

根保証

根保証とは、当座貸越契約や手形割引契約、継続的売掛契約など一定の継続的取引関係から生じる債務を決算期を定めて保証する契約のことを言います。根保証の相続の場合、その限度額や期間に定めがないと、保証人の負担が大きすぎてしまいます。

根保証は被相続人とその相手を結ぶ人間関係に基づいた契約のため、限度額や期間に定めがない限りは相続対象外と考えられます。もちろん、根保証に限度額や期間があれば相続の対象になってしまうので、ここに期間や額の定めがあるかどうかは先んじて確認するようにしましょう。

身元保証人

身元保証人とは、労働者が会社に対して負った債務を保証する人のことを言います。例えば、会社の経費を使い込んでいることが発覚したり、会社が利益を得るための商材を破壊したりした際は、身元保証人が賠償金を肩代わりする責任があります。

しかし、これも根保証と同様に保証する側とされる側の人間関係に基づいた契約のため、相続人が被相続人と関係があっただけの全く関係のない相手に対して、身元保証人の責任を引き継ぐ必要性はありません

ただし、被相続人の死亡以前に保証する相手が損害賠償をされている場合は、相続対象外にはなりませんので注意してください。

金銭消費貸借書を確認

親が連帯保証人かどうかを調べるのに方法はいくつかありますが、一番手っ取り早いのが「金銭消費貸借書」を確認することです。連帯保証人になっていれば金銭消費貸借書を持っているはずなので、まずはこの書類の有無だけでもすぐに確認するようにしましょう。

ただし、この金銭消費貸借書はネット上でもテンプレートがダウンロードできる上、保存方法が紙なのかネット上でなのかは分かりません。また、紙の場合でも連帯保証人のことを家族に話していない場合は見つかりにくい場所に保管していることが多いので、心当たりが無い場合はできるだけ早く探すようにしましょう。

連帯保証人を相続した際の対処法

連帯保証人になっていることを知らずに相続をしてしまったり、相続放棄の期限を過ぎてしまった場合、どのような対象をしたら良いのかを解説していきます。

金融機関に減額の交渉

交渉をしたからと言って必ずしも減額してもらえるというわけではありませんが、金融機関によっては債権回収会社に債権の売却してくれるケースもあります。ただし、収入や資産があるにも関わらず、5000万円の借金を100万円にしてほしいなど無理のある要求をしてしまうと、その後の交渉は難しくなります。

あくまで現実的なラインで、自身の生活状況等も踏まえて交渉することでうまくいく可能性が高まるでしょう。

できるだけ早く全額を支払う

連帯保証人として負債を負えば、最大年利で14.6%もの遅延損害金を追加支払いする義務も発生するなど、日に日に負担は大きくなります。少し苦しいものの、支払えないがくではないという場合は、まずはできるだけ早く連帯保証人として生じた債務を精算してしまうという手もあります。

借金を自身が支払い精算しておくという旨を他の連帯保証人や債務者に通知しておけば、あとから求償することも可能です。とにかく、何もせずに遅延損害金が嵩んでいくことだけは避けるようにしましょう。

任意整理や個人再生をする

任意再生とは、司法書士が債権者と交渉をし、様々な条件を成立させることで確実に返済ができるようにする手続きのことです。一方、個人再生とは住宅ローンを除く借金の総額が5,000万円以下の場合、借金の20%を3年で分割返済することで、残り80%が免除される手続きのことを言います。

どちらにしても手続きや条件があり、すべての借金がチャラになるわけではありませんが、負債を計画的になくしていくという点では無理なく借金の消化ができるでしょう。

自己破産手続きを行う

どうしても支払いの目処が立たない、借金の額が大きすぎると言った場合には、自己破産手続きを行うことで借金がゼロになります。持っている財産はすべて手放し、その後の生活にも制限が出るため、この判断は最終手段としてすぐに行動を起こすことはおすすめしません。

連帯保証人の相続解除や時効はあるのか

連帯保証人の立場をそのまま相続してしまった場合、上記のような対処法をとる他に相続解除や事項があるのかどうかについても確認しておきたいところです。まずは、相続が解除される可能性のあるパターンについてチェックしていきましょう。

解除の可能性パターン 解除方法
代筆署名や意思を伴わない捺印など 保証の意思を確認
騙されたり詐欺だった場合 消費者契約法での取り消しや詐欺罪での告訴
勘違いや誤解など 錯誤が認められた場合無効
強迫 強迫として取り消し
未成年の契約 未成年者として契約取り消し
根保証契約 自動更新解除
親などが未成年者を連帯保証人に仕立て上げた場合 無権代理行為として無効

可能性パターンとしてはいくつかあるものの、解除の可能性が適応されるには、連帯保証人やその相続人が負債の支払いを1円も行っていないことが条件になります。ここで支払いを少しでも開始していれば、債務を認め水耕しているということになりますので、そこから解除や時効が適応されることはなくなります。

また、解除手続きはすべての場合において借金を返済するべき相手に意思表示のため「内容証明郵便」で通知する手続きを行わなくてはなりません。

ほとんどは内容証明郵便の通知のみで解決することはなく、場合によっては裁判にまで発展することもあるので、自身で手続きを行うことに不安がある時はまず弁護士に相談してみるのが良いでしょう。

続いて、連帯保証人またはその相続人として借金を時効に出来ないかという点についてです。時効が成立する条件としては、以下2つの項目がどちらも行われた場合のみです。

  • 時効が中断されないまま、5年または10年が経過
  • 主債務者またはそれを肩代わりしている連帯保証人などの借金をしている側が時効の成立を主張(時効の援用)

時効期間の5年または10年については、債権者が企業やサラ金であれば5年、個人から借金をしていた場合は10年に設定されています。意外と簡単に時効が迎えられそうと思った方も多いと思いますが、時効が中断する理由は数多くあります。

  • 1円でも借金の返済を開始していた場合
  • 裁判で訴えられたりした場合
  • 給料を差し押さえられたり、財産を差押え、仮差押え、仮処分された場合

これは、連帯保証人や相続人本人が該当していなくても、主債務者(借金をした本人)が上記のいずれかに該当していれば、連帯保証人としての時効も降り出しに戻ってしまいます。住宅ローンを支払っていたり、安定的な収入があれば差し押さえをされてしまうため、基本的には時効が成立する見込みは非常に低いです。

預貯金も持ち家もなく、差し押さえるものがないほど本当にお金に困っている状況であれば、いずれ時効が成立する時が来ますが、5年~10年とその極限状態を維持しなくてはならないので、時効を待つのは現実的ではありません。

まとめ

連帯保証人死亡後に気が付かず相続をしてしまい相続放棄の期間を過ぎてしまうと、基本的には相続人にも連帯保証人の債務が受け継がれてしまいます。しかし、状況によってはそれを回避したり、うまく対処する方法があることが分かりました。

どうにもこうにも立ち行かないという場合には、債務整理をする選択肢もありますが、まずは弁護士や連帯保証人相続の専門家に相談し、自身の現状でどういった対処が最適かを正しく判断することが重要です。

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