2020.01.09

家族にバレずに自己破産する方法と自己破産が家族に与える影響を徹底解説

家族にバレずに自己破産することは可能?

家族や同居しているパートナーなどに内緒で自己破産をすることは、原則としてほとんど不可能と言えるでしょう。バレない可能性があるとすれば家族全員と別居しているケースが考えられますが、家族がいる場合はどこかのタイミングでバレてしまうことがほとんどと考えておきましょう。

では、具体的にはどのようなタイミングで自己破産をした事実が知られてしまうのか解説していきます。

同居している持ち家が差し押さえられてしまう

家族と自分名義の持ち家で同居しているという場合、自己破産をするとその持ち家は差し押さえの対象になってしまいます。自己破産は、換金できる財産(生命保険や預貯金、車や持ち家など)が差し押さえ・没収される代わりに債務を相殺できるという制度のため、持ち家があれば間違いなく立ち退きを余儀なくされるでしょう。

そうなると、なぜ家から出ていかなくてはならないのか家族に説明をしなければなりません。そのタイミングで自己破産をしたことが知られてしまうため、マイホームで家族と同居している人が自己破産を内緒にし続けられる可能性は低いです。

同居している家族の収入・財産などの情報を裁判所へ申告

自己破産をする際は、自身の財産や収入の申告だけでなく、同居している家族の財産や収入まで事細かに漏れがないよう申告する必要があります。自己破産をする前から全ての財産・収入状況を把握していれば、特別変わった動きをする必要はありませんが、ほとんどの場合は申告前になって初めて調査をします。

そうなると、財産や収入状況を調べるのに本人の同意や印鑑証明が必要だったりすることも多く、どうしても自己破産することを共有しなければいけなくなるでしょう。

官報に掲載されてしまう

官報とは、政府が発行している公告文書のことで、一般国民に知らせるべき内容を掲載しています。自己破産をしてしまうと、この官報に破産者の住所や氏名が掲載されることになります。

官報は一般市民はあまり馴染みがないため官報をきっかけに自己破産がバレる可能性は低いですが、官報をよくチェックしている知り合いや、政府関係の仕事に就いている親族などがいた場合には、自己破産をしたことがバレてしまうこともあります。

どうしても家族にバレずに自己破産をしたい!方法はあるの?

まだ持ち家がない状態で財産の差し押さえも家族に内緒にできそうだという方は、家族にバレずに自己破産手続きを進めたいという方もいらっしゃるでしょう。この方法も100%バレる保証がないというわけではありませんが、少し予算をかけて自己破産手続きを弁護士に依頼してしまえば、家族にバレずに自己破産が出来る可能性が高まります。

自己破産手続き中は裁判所や債権者から様々な書面通知が自宅に届きますが、それをいちいち隠すことは難しく、どこかのタイミングで家族に書面を見られバレてしまうことも多くあります。弁護士にこの手続きを代行してもらうと、自己破産に関する郵便物をすべて弁護士宛に郵送してもらうことが可能になります。

弁護士は裁判所での手続きもすべて請け負ってくれるので、手続き中も有給を使って裁判所に赴いたりする必要がなくなります。どうしても家族にバレずに自己破産手続きを進めたいという方は、弁護士の力を借りながら手続きを進めていくのが良いでしょう。

自己破産による家族への影響

家族にバレずに自己破産をすることはほとんど難しいものの、弁護士に依頼することで郵便物を見られる心配がなくなり、家族にバレずに自己破産手続きをすることも不可能ではないということが分かりました。

しかし、自己破産をすることで子供や配偶者、親族、または家族全体に影響が出ることは間違いありません。ここからは、自己破産をすることで家族にどんな影響が出るかについて詳しく解説していきたいと思います。

家や車などの財産が差し押さえ・没収される

先述したように、自己破産をすると換金出来る可能性のある財産はすべて差し押さえ・没収されます。それが持ち家であればその家を立ち退かなくてはならなくなり、車であれば、家族での移動手段を一つ奪われることになります。

没収された財産(20万円以上の財産価値があるもの)は競売などで現金化され債権者に分配されてしまうため、一時的な没収ではなく同じものが手元に戻ってくることは二度とありません。そうなると、当然家族にも不便な思いをさせてしまうことになるでしょう。

子供の学資保険が解約されてしまう

自己破産をした際は、預貯金も差し押さえ・没収の対象となります。学資保険も貯金と同様のものとみなされますので、解約後は返戻金として現金化され債権者に分配することになります。子供の名義だったとしても、積立しているのが親であれば解約の対象になってしまうという法的決まりもあるため、これも回避する方法はありません。

ただし、学資保険の金額が20万円以下と少ない場合には、自己破産後も差し押さえをされずに残すことが出来ます。家族のために積み立てていたものがあれば、それが解約対象になるかならないかは弁護士に確認しておきましょう。

一定期間、保証人になることが難しい

自己破産をした人は、信用情報機関に事故情報として掲載され、いわゆるブラックリスト入りをしてしまいます。このブラックリストへの掲載は、短くても5年、長いと10年もの間続き、その期間中は保証人になることが難しくなります。

保証人といえば、子供の学費で奨学金を借りる場合などに必ず必要になりますが、ブラックリストに登録されている間は保証人になることは出来ません。もしも親が破産者本人のみしかいなかった場合は、最悪のケースでは奨学金を借りられず、子供を退学させることになったり、進学が難しくなってしまったりします。

家族カードが使えなくなってしまう

クレジットカードを持っている本人が自己破産の手続きを行うと、家族カードを持っている家族はそのカードを利用できなくなってしまいます。これも保証人と同じ理由ですが、自己破産者は信用情報機関にブラックリスト登録されているため、クレジットカードの利用を停止・解約されます。

信用情報機関は銀行やクレジットカード会社などの金融機関であれば自由に閲覧・照会が出来るようになっているため、自己破産の履歴がバレずに済む可能性はなく、5年~10年の間は自分で掲載情報を削除する方法もありません。

家族カードが使えなくなることで家族に迷惑をかけてしまうことはもちろん、自身が持っていたクレジットカードも利用ができなくなりますので、クレジットカードをメインに利用していた場合はとても不便な生活を強いられます。

連帯保証人にも迷惑がかかってしまう

自己破産をするということは、自身ではどうにもならなくなってしまった借金があるということです。この借金に連帯保証人を付けていた場合は、自己破産の際に連帯保証人にも大きな影響があります。

まず、自己破産をすると破産者本人の借金支払い義務はなくなり、代わりに連帯保証人になっている人へ借金の請求がいってしまいます。連帯保証人は、借金が支払えなくなった時にその人の責任を肩代わりするという法的契約のため、支払義務から逃れることは出来ません。

連帯保証人も借金の支払いができない場合は、その人までも自己破産の選択をせざるを得ないという状況にも陥りますので、自己破産の際に連帯保証人がいた場合は自分だけの問題だけでは済まなくなってしまいます。

万が一、近所や会社にバレてしまった時の風当たりの強さ

自己破産手続きをしても、近所や会社の人にバレてしまう可能性はほとんどありません。しかし、同居している家族が隣人に話したり裁判所から会社へ給与の確認連絡が入ったりした場合は、自己破産したことを知られてしまう可能性もあります。

そうなると、世間の風当たりが強く感じたり、同情の目を向けられたりすることもあるでしょう。これは自己破産者本人だけでなく、家族、特に子供などにも影響が大きいので、世間にはバレないよう細心の注意が必要です。

自己破産をしたら、家族の財産(貯金や乗用車)まで処分されるの?

自己破産をしたら家族の財産まで処分されてしまうのか心配になりますが、自己破産は基本的に申し立てをした本人にのみ効力があるため家族の財産には影響はありません。ただし、20万円以上の貯金がある家族がいた場合は裁判所から預金通帳のコピーの提出を求められるでしょう。

理由は、20万円以上の預貯金を持っている家族の口座に、破産者があらかじめ自身の財産を隠すために入金していた可能性があるからです。これを調査し、完全に別の家族が貯めたものであると確認できれば特に問題はありません。

しかし、家族の貯金の中に破産者の財産が含まれていると判明した場合はその貯金はまるまる没収され、債権者への分配対象になってしまう場合があるので注意してください。最も、ペアローンで購入したような共用財産も処分対象となってしまいますので、影響が出ないのは家族単体の財産だけだと考えておいてください。

家族に影響を与えずに自己破産をする方法

自己破産をすると、どうしても家族に悪影響を与えてしまうということで悩んでいる方も多くいます。自己破産は家族への影響が避けられないのはもちろんのこと、自己破産が家族に知られてしまう可能性もとても高い方法です。

借金があることを家族に知られずに、なおかつ家族に悪影響がないようにしたいと考える方は、自己破産以外の方法を検討してみても良いかもしれません。自己破産以外の方法としては、

  • 個人再生
  • 任意整理

この2つの債務整理が考えられます。それぞれどんな債務整理なのか、メリット・デメリットがあるのかを詳しく解説していきます。

個人再生をする場合のメリット・デメリット

個人再生とは、民事再生手続きの中で個人を対象にした手続きのことを言い、財産を手放すことなく借金を減らしてもらい、3年をかけて残りの借金を返済していくことが出来るという制度です。

持ち家を手放すことなく借金を大幅に減額(最大1/5まで減額)してもらえるというのが最大のメリットです。また、残った借金を全額返済できれば、住宅ローン以外の借金は法律上返済しなくてもよくなります。

さらに、自己破産をすると職業制限がかかってしまいますが、個人再生であれば資格の制限は一切ありません。個人再生が出来る人の条件としては、一定の収入があり返済能力が確認できる場合に限りますが、弁護士に依頼することで家族に迷惑をかけずに借金返済の計画を立てていくことができます。

個人再生のまとめ

  • マイホームなどの財産を手放さなくても良い
  • 借金を大幅に減額(最大1/5まで減額)してもらい、残った借金を3年間で返済する制度
  • 残った借金を全額返済できれば、住宅ローン以外の借金は法律上返済しなくても良い
  • 自己破産のような職業・資格の制限が一切ない
  • 安定的な収入と返済能力がある人でなければ個人再生手続きはできない

個人再生は借金が全額なくなるわけではないため、残った借金をどう返済していくかの綿密な計画と、返せる目処を立てる(収入と生活のバランス)ことが重要です。ただし、個人再生にはメリットが多くあるため、収入が安定していれば検討する余地のある債務整理の方法です。

任意整理をする場合のメリット・デメリット

任意整理とは、裁判所を介して手続きをするのではなく債権者と直接交渉し、借金の負担軽減を認めてもらい和解契約を結ぶ債務整理の方法です。任意整理は発生する利息をカットしてもらえる程度なので、自己破産に比べれば借金の減額は僅かなものです。

ただし、どの借金の減額交渉をするかを自由に選択することが出来るため、連帯保証人に迷惑をかけずに借金を整理したいという場合にはとても有効な方法です。

連帯保証人がいない消費者金融からの借金は減額交渉をするなど、計画さえきちんとしていれば誰にも迷惑をかけることなく計画的に借金の整理を行うことが出来るようになります。

任意整理のまとめ

  • 将来的な利息をカットしてもらうことで返済が早まる
  • 裁判所を通さないため、手続きが簡単
  • 借金の減額交渉は、どの借金にするかなど自由に選択ができる
  • 減額できる額が少ないため、借金が莫大な場合はあまり向かない
  • 信用情報機関に情報登録され、5年~10年は借り入れが不可能
  • 和解条件によっては任意整理ができない場合がある

任意整理は利息カット程度の減額のため、借金が膨れ上がっているという場合にはあまりおすすめできません。また、和解条件が厳しい金融業者の場合は、任意整理ができないケースもあります。それでも裁判所を通さずに減額が出来るので、検討して見る余地は大いにあります。

まとめ

自己破産をすると、多かれ少なかれ家族への影響があります。また、財産の差し押さえなどもあり持ち家や車が処分されてしまうので、家族に知られずに自己破産をすることはかなり難しいです。

多くのリスクを踏まえた上で、それでも選択肢が自己破産だけという場合は、家族に正直に話をして理解を得ることが重要だと思います。

ただし、借金を整理する方法は自己破産だけではありません。任意整理や個人再生といった債務整理の方法も検討することで、家族への影響を最小限に抑えつつ借金を整理することもできます。自分はどの方法が最善なのかはんだんができないといった場合には、まず弁護士などの専門家に相談してみることが大切です。