2019.11.23

【どうなるの?】自己破産後の生活/破産者のリスクや制限と家族への影響

自己破産後の生活
アース法律事務所

自己破産とは、金銭的理由で生活が破綻し借金返済の当てがない、または目処が全く立たないといった場合に、特定の手続きを取ることで借金返済の義務が消失する制度のことを言います。簡潔に言えば、抱えていた莫大な借金が、一つの手続きによりチャラになるということです。

しかし、自己破産の手続きを行った場合は借金がなくなるだけでなく、破産者自身の生活における制限や家族に与える影響なども考えなければなりません。今回は、自己破産後の生活や破産者の様々なリスクや制限、家族に与える影響などを紹介していきます。

自己破産後の生活はどうなる?

一般的に自己破産は、いかようにしても借金の返済が不能であったり、免責不許可事由にあたらない(財産の隠蔽やギャンブルでの使い込みなどがない)場合に手続きを行うことが可能です。メリットとしては、

  • 基本的に借金は全額免除になるため、ストレスから開放され金銭的負担もなくなる
  • 最低限の生活は保障
  • 自己破産後の財産は自己管理が可能

などがありますが、その後の人生を考えるとデメリットの方が破産者に与える影響は遥かに大きいです。具体的には、破産者が受ける制限が数多く存在している他、何かの手続きを取る際に拒否されたり、障壁となる場合があったりなどです。

次の項目で、破産者のリスクや制限について詳しく解説しますのでしっかりチェックしておきましょう。

破産者のリスクや制限

職業制限

自己破産の手続き期間中は、一定の職業には就けなくなります。ただし、一定の職業に就けないのは手続き期間中だけなので、1年程度我慢すれば元の仕事に戻れるということです。

自己破産手続き中に就けない職業は、資格を利用した職業であることが多く、

  • 弁護士、司法書士、税理士、公認会計士、弁理士、公証人などの士業
  • 証券会社外交員
  • 宅地建物取引業者
  • 質屋や古物商
  • 後見人
  • 建設業者
  • 損害保険代理店
  • 生命保険募集人
  • 風俗営業者
  • 警備員

などがあります。現実には、自己破産手続き中に自己破産をしたということが知られ、元の職場に復帰できなくなったり、解雇されたりすることも少なくありません。そうすると、同じような職業には就けず、別の就職先を探すのにも苦労したりします。

個人信用情報機関(ブラックリスト)への事故登録

信用情報機関とは、近郊や消費者金融など各種金融機関が加盟する情報機関で、ここで個人の返済滞納履歴や自己破産の手続き有無などを確認することが出来るようになっています。自己破産は、金融機関が受ける損害が大きく、リスクがあるとみなされるため、事故登録の中でも最低ランクの評価を受けてしまうのです。

では、このブラックリスト入りの何が問題かというと、クレジットカードが作れなかったり、携帯電話が利用できなくなったりと、生活に大きな支障をきたすからです。

新規の借入やクレジットカードの発行は不可

新規の借り入れやクレジットカードを発行したいと思った時、自己破産履歴があるとほとんどの場合お断りされてしまいます。賃金業者は自己破産をした履歴がある人を再度支払いが不可になる可能性が高いと判断するでしょう。

そのため、ブラックリストへの事故登録掲載中は、新規の借り入れやクレジットカードの審査は通らないと考えた方が良いです。

官報への掲載

官報とは、政府が国民に向けて発行する公告文書のことです。自己破産をするとその事実は官報に掲載され、一部の賃金業者がチェックしています。ブラックリストは掲載期間が終わると情報が削除されますが、官報はそのまま残るため、過去に自己破産をした履歴がないか確認したり、独自のブラックリストを作るために情報をコピーされたりします。

一般人が官報を見て自己破産の事実をすることはほとんどありませんが、自己破産者をリスト化している各機関には知れ渡ることになります。

携帯電話の利用制限

現在使用している携帯電話やスマートフォンで、本体の支払いを済ませており月々の利用料金をきっちり支払っていれば、携帯電話が利用できなくなることはありません。しかし、携帯電話本体の返済残高が残っている場合は、自己破産をした時点で携帯電話の使用ができなくなってしまいます。

理由は、携帯電話の本体料金の残高も自己破産で免除する債務の対象になるためです。その他、新規で契約し高額の本体料金が発生するような場合でも契約は難しくなるでしょう。

2度目の自己破産は原則不可

自己破産をしたあとの生活で、再度生活が苦しくなった時、もう一度自己破産が出来るかと言えばそうではありません。1度目の自己破産をした時点で、2度目の自己破産は制限付きになるということを覚えておきましょう。

2度目の自己破産が認められるのは、最初の自己破産から7年が経過した場合のみで、7年以内はどんな状況になっていても自己破産をすることは出来ません。また、2度目の自己破産ともなると信用度が大幅にダウンしさらに印象が悪くなるので、裁判所で免除が認められず7年経過しても自己破産が出来ないことが多いです。

財産没収と差し押さえ

債権者にとって、自己破産をされたことで生じた損害や被る不利益は相当なものです。そのため、借金をゼロにするのと引き換えに、換金価値のある財産はすべて没収・差し押さえされます。

代表的なもので言えば、自宅、車、払い戻し可能な保険、貴金属類、預貯金、給与などが差し押さえの対象になり、自己破産後はそれらの財産すべてが没収されます。貴金属類などはまだしも、車やマイホームが没収された生活を想像してみてください。

貯金もなく車もなく、何かあった時の保険もないという中での生活は、なかなかにストレスが溜まっていくでしょう。もちろん、換金できる財産であっても生活に最低限必要な家具や衣類、年金などは対象外になるため、最低限の生活は保証されます。

また、99万円以下の現金、20万円未満の貯金、給与の4分の3に関しては、没収されずに残しておくことが出来ます。これも、最低限の生活を保証するための救済措置です。

自己破産をしても残る債務に対する責任

自己破産をしても、ゼロにならない債務や借金、支払の義務などがあります。

慰謝料

慰謝料はすべてが免除されないわけではありませんが、慰謝料を支払うことになった理由によって免除されるかどうかが決まります。例えば、DVや暴力沙汰の事件を起こしたり、精神病に追い込んだりした場合は、ほとんどの場合免除されないでしょう。

損害賠償金

損害賠償もまた慰謝料と同様で、なぜ損害賠償を支払っているかの理由により免除されるかされないかが決まります。さらに、損害賠償の額があまりに大きい場合などは免除されないなどの条件もあります。

養育費

養育費に関しては法定拘束力が強いため、滞納があれば自己破産で免除されません。

税金

日本に住んでいる以上、国に必ず支払う義務のある税金(年金や住民税など)は、自己破産をしても免除されることはありません。これは、多額の滞納が合った場合も同様です。

申告・掲載していない債権

自己破産をする際は、破産者のすべての債務対象となる債権者情報を裁判所へ提出する決まりですが、自己破産をする際に故意に申告しない債権があった場合は、それを支払う義務は破産者にあります。

自己破産でできなくなることの噂

自己破産をすると、たしかに様々な制限やリスクがつきものですが、自己破産は国で認められている手続きの一つです。自己破産後の生活で起こる制限が多岐に渡るため、世間ではできなくなることのご認識や噂が飛び交っています。

以下に挙げられているものは、すべて自己破産によってできなくなることはありませんので安心してください。

  • いつの間にか家族や友人に知られてしまう
  • 戸籍謄本や住民票に載ってしまう
  • 職場に知られてしまう
  • 選挙権の失効
  • 飛行機に乗れない・海外へ行けなくなる
  • 衣類や家具なども含め財産がすべて処分されてしまう
  • 自宅が差し押さえられても、家が借りられない

自己破産は制限こそ多いものの、最低限の生活を保証してくれる制度です。ただし、自己破産後も生活を改めずに再度借金を作ったりということがあれば、これまで以上に厳しい生活を余儀なくされることになります。

自己破産は結婚に影響するか

自己破産をした過去があり、その後結婚するとなった場合に、自己破産が原因で結婚ができない、または破談になったり婚約解消になったりすることはあるのかは気になるところです。

結論から言うと、自己破産は結婚に直接的な影響はありません。しかし、ローンが組めなかったり、クレジットカードが発行できなかったり、新規借り入れができないということで、結婚相手に理由を問われることがあるかもしれません。

そういった場合は、きちんと自己破産したことを伝えることでその後の関係が円滑になる可能性があります。また、子供との信用情報も別モノのため、子供の生活に影響が出ることもありません。

自己破産が家族に与える影響

自己破産をすると、破産者の生活にはいくつかの制限がかかることは分かりました。では、破産者のその家族に与える影響はどのようなものがあるのでしょうか?

最低限度の生活になることで家族にも不自由をさせる

先にも述べた通り、自己破産をすることで財産は没収されたり差し押さえられたりします。すべての財産を取り上げられることはありませんが、預貯金も最低限になるため家族にも厳しい生活を強いることになってしまいます。

厳しい生活をしていることで健康状態を害したり、子供にも学校行事等で我慢をさせてしまうことがあるかもしれません。

子供がいる場合、金銭的な援助が難しい

自分だけでなく自分の子供がいる場合、子供を支えるための養育費が必要になります。5年以上は借金の保証人にもなれないため、奨学金の保証人になることも出来ません。そうなると、破産者はどのようにお金を工面するか頭を悩ませることになります。

自己破産後は預貯金も最低限度しか残せなくなるので、子供を交えての生活は難しくなるでしょう。

自己破産で免除される債務の中に家族が保証人になっているものがある場合

自己破産で免除される借金の中で家族がその保証人になっている場合、保証人へ借金請求を行う権利が発生するため、今度は保証人になった家族が借金を背負うことになります。そういったケースで家族である保証人も自己破産をすることがあります。

そうなると、家族にも多大なる迷惑をかけてしまうと同時に、関係が拗れて別のトラブルに発展してしまうことも珍しくありません。

就職や昇進がきっかけで自己破産の事実が明るみに出ると印象が悪い

自己破産をした事実が他人に知られることは実はほとんどありませんが、自己破産後は生活が苦しくなるため家族の様子から変な噂が立つこともあります。また、就職や昇進など何かしらのきっかけで自己破産をした事実が知られてしまうこともゼロではありません。

例えば、給料の差し押さえがきっかけで会社に知られてしまうこともあります。もしそうなった場合は、破産者本人はもちろんのこと、その家族への印象も悪くなるため、世間の風当たりが強いと感じるようになるかもしれません。

実は、こういった近所や友人、知人に知られた場合の世間の目というものが、一番家族への影響として大きく感じられるということもあります。

自己破産後に生活保護受給は可能?

自己破産後に再度生活が厳しくなった際、家族の生活を守るためにも生活保護が受けられるかどうか確認しておきたいところです。結論から言えば、自己破産をしても生活保護の受給は可能です。しかし、以下の条件があります。

  • 家族や親戚など生活を支援する人がいない
  • 収入が生活維持できる水準以下
  • 自宅や土地など換金できる財産を所有していない

義務教育中の子供と2人暮らしで、両親も親戚もいないという場合は家族がいても生活保護が受給できますが、配偶者がいたり、支援してくれる親戚がいる場合には受給することは難しいでしょう。

しかし、生活保護は借金返済には当てられないものの、自己破産手続き前からでも受給が可能なため、なるべく早く申請をすることで自己破産後の生活に多少なりとも余裕をもたせることが出来ます。

自己破産にかかる費用はいくら?

自己破産をしようと思っても、手続きはタダで出来るものではありません。ここで自己破産にかかる費用についても確認しておきましょう。

  内訳 合計費用
裁判所費用 申立手数料や郵券切手代など 1万円~50万円(同時廃止か管財事件で異なる)
専門家費用 司法書士や弁護士への報酬 20万円~50万円(依頼先で異なる)

自己破産を行うには、裁判所への申立や専門家への依頼など一連の流れがあり、全てを行うのにかかる費用も大体50万円前後と決して安くはありません。

だからこそ、専門家選びを自分で行う際には債務整理に特化した専門家や事務所を選ぶようにしましょう。実績が多ければ多いほど自己破産の様々なケースに対応した経験があるので、今の状況に寄り添った提案をしてくれるはずです。

まとめ

自己破産をしてしまうことでの制限やリスクはご理解いただけましたでしょうか。確かに、自己破産をすることで社会的な信用度は下がってしまうかもしれません。しかし、自己破産などの債務整理をすることで、借金苦だった生活を見直す機会が出来て、その後の生活にも見通しが立ちます。

少しでも不安や疑問点があれば、自己破産・債務整理に特化した専門家にまずは気軽に相談し、どのように手続きを進めていけばいいかなど一緒に計画を立ててもらうようにしましょう。

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