2020.01.08

自己破産をしてもクレジットカードは使える?破産後に審査を通しやすくする方法とは

自己破産をしたら持っていたクレジットカードはどうなる?

自己破産の手続きを行うと、契約していたクレジッドカードはすべて継続利用ができなくなります。自己破産手続きをすると、弁護士を介して自己破産の依頼を受けたことを通知する受任通知と、今後の破産予定を記した書類がすべての債権者(金融機関等お金を貸し付ける側)に送られます。

受任通知を受け取った債権者は債務の催促停止などが義務付けられていますが、同時に自己破産をする事実を知ることになります。そうなれば、当然自己破産者本人を「支払い能力のない人間」と判断するでしょう。

そもそも、契約時に自己破産者のクレジッドカードの継続利用は禁止されていることが多いですが、この受任通知を受け取った時点で契約に基づき強制的にクレジッドカードの利用を停止、契約を解除することが普通です。

自己破産をしたあとでクレジッドカードの利用料だけを払い続けるという方法も禁じられているため、自己破産をしたらクレジットカードが使えなくなるのは必至だと考えておきましょう。

契約してから一度も使っていないクレジットカードは申告しなくても良い?

クレジットカードの契約をしたものの、別のカードをメインにしていて一度も使っていないというパターンもあるでしょう。一度も利用履歴がなければ、自己破産をしたあとでそのカードを使うことは可能なのか気になる方も多いはず。

しかし、残念ながら契約したクレジットカードであれば、利用歴の有無は関係なしにすべて申告する必要があります。自己破産後に申告漏れのクレジットカードの存在が明らかになれば、裁判所で自己破産を認めてもらえなくなったり、詐欺罪として別の裁判にかけられる危険性もあります。

自己破産を選択した際は、後々バレずに使えるかもしれないという淡い期待はせず、すべての契約中クレジットカードを忘れずに申告するようにしてください。

クレジットカードで貯めていたポイントはどうなる?

クレジットカードを利用していれば、換金できるようなポイントが貯まっていたり、商品券と引き換えができたりもします。そういったポイントも、自己破産でクレジットカードが利用停止・解約になれば、同時に失効してしまいます。

ただし、自己破産前であれば、ポイントの範囲内でポイントを消費する行為は特に問題にはなりません。ポイントが大量に貯まっているのであれば、数ポイントを残すような形であれば、消化しても大丈夫です。

クレジットカード会社が発行したETCカードはどうなる?

クレジットカード会社が発行したETCカードも、カード解約とともに利用不可になります。手続きが終了するまで問題なく使えたとしても、後々利用が問題になり自己破産を認めてもらえなくなったりすることもあるので、自己破産手続きを開始したら車からはETCカードを外しておきましょう。

また自己破産では、家や生命保険、車など換金価値のある財産を没収・差し押さえされますので、クレジットカード以前に車を手放さなければいけない可能性が高いです。

残債務のないクレジットカードであれば継続利用は可能?

一度も利用歴がないクレジットカードと似ているケースで、利用歴があっても残債務がなければ解約せずに持っていることは可能なのか気になる方も多いでしょう。これは、一時的に所持していることは可能だとしても、絶対にバレてしまうタイミングがあります。

1つ目は「与信(信用情報機関への照会で信用情報を確認すること)」のタイミングです。クレジットカード会社は定期的に信用情報を確認しますので、与信のタイミングが来れば自己破産したことは100%バレて、即刻契約解除の通知が届くでしょう。

2つ目はクレジットカードの利用期限が迫ったときです。こちらも与信同様に、利用期限が迫ると更新するかどうかの通知を送るとともに、利用者の信用情報をチェックします。そこで自己破産者だと分かれば、継続を更新してくれることはありません。

自分名義のカードでも、配偶者が自己破産したら使えなくなる?

配偶者が自己破産をしても、名義が別(夫や妻)であれば、クレジットカードは継続して利用することができます。ただし、配偶者が支払いを行っていた場合は自己破産後に継続して支払いを行うことはできませんので、自分での支払いに切り替えるか、それが難しければ解約しなければなりません。

自己破産後は二度とクレジットカードを作れない?

自己破産の手続きをすると、受任通知によって支払い能力がない人とみなされ、クレジットカードは強制的に利用停止・解約されてしまいます。自己破産をしたあとにすべてのクレジットカードを解約されてしまっては生活が困るという方もいるでしょう。

そういった場合、自己破産後にもう一度クレジットカードを作ることは可能なのでしょうか。結論から言えば、自己破産後は新しいクレジットカードを「一定期間」は作れなくなります。

自己破産後に一定期間クレジットカードが作れなくなる理由

自己破産をすると、信用情報機関に自己破産をしたという情報が一定期間掲載され続けます。信用情報機関とは、CIC(割賦販売法・賃金業法指定信用情報機関)、JICC(日本信用情報機構)、KSC(全国銀行協会)のことで、金融機関やクレジットカード会社はこのデータベース自由に閲覧・照会することが出来る仕組みになっているのです。

信用情報機関への掲載は一定期間を過ぎれば取り下げられますが、掲載された状態でクレジットカードの新規作成を行おうと思っても、事故情報を照会されればまず審査には通りません。ブラックリスト入りをしている間は、掲載情報を消す方法もないため、むやみに何度も審査を申し込んで信用度を下げたりしないよう注意してください。

何年経てばクレジットカードは作れる?

新規のクレジットカードを作れるようになるには一定期間必要という話をしましたが、その期間は具体的に何年なのでしょうか。信用情報から事故情報が消えれば基本的には再審査が可能ということを考えると、それぞれの掲載期間がイコールでクレジットカードを作れるようになるタイミングということになります。

事故情報の掲載期間については、CICとJICCが5年、KSCは10年となっています。この期間が過ぎるまでは事故情報が掲載され続けているので、信用情報をチェックされた際に返済能力がないと判断されて、審査に通らなくなるのです。

信用情報機関 掲載期間 対象の業種
CIC(割賦販売法・賃金業法指定信用情報機関) 5年間 信販会社・百貨店・専門店会・流通系クレジット会社・銀行系クレジットカード会社・家電メーカー系クレジット会社・自動車メーカー系クレジット会社・リース会社・保険会社・保証会社・銀行・農協・労働金庫・消費者金融会社・携帯電話会社 etc…
JICC(日本信用情報機構) 5年間 消費者金融会社、
流通系・銀行系・メーカー系クレジット会社、信販会社、金融機関、保証会社、リース会社 etc…
KSC(全国銀行協会) 10年間 全国の銀行

自己破産後にクレジットカードの審査が通りやすくなる方法

銀行系以外が発行するクレジットカードを選ぶ

早く確実にクレジットカードを作りたいならば、KSC(全国銀行協会)の会員ではない団体が発行するクレジットカードへの申込みがおすすめです。KSCは自己情報の掲載期間が最長の10年と、かなり厳しくなっています。

一方で、CICやJICCであれば5年の掲載期間で済むため、自己破産をしても5年が経過すれば審査が通りやすくなるということです。複数の機関の会員になっている団体も存在するので、必ずKSCの会員ではないかしっかりチェックしてから申し込むようにしましょう。

審査が厳しくない業者を探す

有名な金融機関はそもそもの審査基準が厳しく、何の問題もないような人でなけれ申込みをしても落とされてしまう事が多いです。一度申込みをして審査を落とされてしまうと、審査に落とされたという情報自体も信用情報に載ります。

そのため、申込みは慎重に行うことは前提で、中小の金融機関へ申し込み、なるべく落とされる確率の低い業者を選ぶことがポイントです。中には自己破産をしている事実を知ってもそこだけで判断せず、一定の条件で審査を通してくれる業者もいます。

まずは安定した収入と確実な連絡先を得る

今現在債務がなかったとしても、一度自己破産をした人は社会的信用を大きく失っている状況です。クレジットカードの申し込み審査をパスするには、大前提として返済能力があることを提示しなければなりません。

不安定ではなく安定した稼ぎがあり、貯蓄もできるだけの収入があることが重要です。また、収入額だけでなく勤続年数や雇用形態も重要視され、正社員で5年以上働いていれば審査に通る確率は格段にアップします。

自己破産時の債権者へは申し込まない

自己破産の情報は5年から10年で掲載が終了します。しかし、自己破産をした際の債権者に再度クレジットカードの申込みをしてしまうと、何度申込みをしても審査に落ちてしまう可能性が高いです。

理由としては、自己破産時の債権者は破産通知を持っており、信用情報の掲載が終わったあとでも独自の事故情報データを元に、過去の自己破産歴を確認することが出来るからです。これはクレジットカード会社のほか銀行なども行っていることで、それぞれの業界でオリジナルの事故情報データリストが作成されています。

ここに掲載されると、永久的にデータが残る可能性が高いので、自己破産時の債権者だったクレジットカード会社には申込みをしない方が賢明です。

信用度の高いクレヒスを作っておく

クレヒスとはクレジットカードヒストリーの略で、利用や返済履歴などのことを指します。これらはどんなに細かな利用状況でも信用情報機関に登録され、持ち主の返済能力などを判断する材料となります。

これがなければクレジットカードを新規に作ることは難しいので、携帯電話の分割払いなど小さな金額でも構わないので半年から1年ほどのきれいなクレヒスを作っておきましょう。

一度に複数のクレジットカード会社へ申込みをしない

早くクレジットカードを作りたい思いから、複数のクレジットカード会社に同時で申し込みをしてしまう人もいるでしょう。しかし、これを行ってしまうと、信用情報に半年間申込ブラックという名目で掲載されてしまいます。

これは自己破産などに比べれば小さな情報に過ぎませんが、それでも信用情報にいらぬ傷をつけてしまうことになりますので、申込みはくれぐれも慎重に行うようにしましょう。

自己破産後にクレジットカードの審査を申し込む時の注意点

審査に落ちても再度の申込みは半年後に行う

申し込みブラックの話と同様で、クレジットカードの審査に落ちるとクレジットカードの新規発行が出来ないだけでなく、信用情報機関に申込みをして審査に落ちたという履歴が残ってしまいます。ここで焦っていくつものクレジットカード会社に申し込みをしても、信用情報機関で照会されれば審査を通してくれることはまず無いでしょう。

データに関しては半年間で消えますので、焦る気持ちを抑えて6ヶ月は申込みを控えるようにしてください。

クレジットカード会社の系統を変える

特定の系統のクレジットカードがほしいためにずっと銀行系のカード会社にこだわっていたりする方もいます。しかし、審査が通りやすいクレジットカード会社を選ぶことが早く新規のクレジットカードを発行する手立てだとすれば、カード会社の系統を変更してみるのも一つの手です。

クレジットカードが作れなくてもクレジットカード機能を利用する方法

家族カードを作る

家族カードとは、クレジットカードの持ち主である本会員の家族であれば、本会員と同じカードが追加発行できるカードのことを言います。家族がクレジットカードの契約をして、そのクレジットカードの家族カードを作れば利用することが可能になるということです。

ただし、衝動的に家族カードを作ったり、利用目的が娯楽のためである場合などは、再度借入れに頼るような生活に戻ってしまう危険性もあります。そのため、家族名義でクレジットカードを作成し、家族カードを利用しようとするのはおすすめされていません。

デビットカードを作る

信用情報の影響を受けてクレジットカードが作れないということであれば、デビットカードがおすすめです。デビットカードは信用情報に自己破産情報が掲載されていても、その影響を受けずにカードの作成が可能です。

なぜそのようなことが可能かと言うと、デビットカードは登録口座から利用時にダイレクトでお金が引き落とされ、残高不可になれば利用ができなくなる仕組みのためです。この仕組みであれば借り入れには該当しないので、信用情報機関を照会した審査はなしに利用が可能なのです。

ただし、こちらも家族カード同様に利用が手軽なため、簡単にお金が使えるような状況になることで新たな借入を生まないよう注意が必要です。

まとめ

自己破産後にクレジットカードを作るには、5年~10年間を空ける必要があるということが分かりました。ただし、もう二度とクレジットカードを作れないかといえばそうではなく、別の方法でクレジットカード機能を利用することも可能です。

ただし、自己破産をした方の中には金銭感覚が鈍っていたり、また自己破産をすれば良いといった甘い考えを持っている方もいます。すぐにクレジットカードが作れないからといってヤミ金に手を出したり、また自己破産が必要なほど借り入れをしてしまったりということがないように、周囲の人もしっかりと見守ることが重要です。

もしも自己破産後のクレジットカードに関して不明点などがあれば、弁護士など信用できる専門家にしっかり相談をしてみましょう。