任意整理のメリット・デメリット

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任意整理のメリットとデメリット

任意整理とは

任意整理とは裁判をせずに交渉で毎月の支払いを減額し、3~5年で借金を完済できるよう借金を減額・整理することです。

通常、借金の支払いを減額したい場合は、お金を借りた債権者(消費者金融やカード会社などの貸金業者)と直接交渉するか、裁判所を通じて話し合いをする必要があります。

任意整理をすることにより、債務者(あなた)に代わって弁護士・司法書士が債権者と交渉をし、金利のカットをした上で、借金の返済額や分割回数を決めるため、支払いを楽にすることができます。

「こんなに支払うと生活が成り立たない!」ということを弁護士・司法書士が代弁してくれるので、債権者と直接やり取りする必要がなく、裁判をせずに和解契約を締結してくれるというメリットがあります。

任意整理の7つのメリット

官報に掲載されないため、家族・友人に知られない

「個人再生」や「自己破産」の場合、「民事再生法」という法律にもとづいた裁判手続きなので、裁判所に申立をする必要があり、家族の家計収支を証明するための資料の提出が必要となります。

また一番の大きな問題は政府が発行している「官報」に掲載されることです。「官報」とは国の機関誌で誰でも閲覧することができ、そこに名前や住所が記載されてしまいます。

近年ではインターネット上からでも閲覧することができ、そのデータを流用した「破産者マップ」というホームページが2019年3月に登場し、批判の声が相次ぎました。

インターネット版 官報
破産者の氏名や住所を地図上に表示「破産者マップ」に批判の声

任意整理の最大のメリットはこの「官報」に掲載されないため、会社・家族・知人に知られることがない、ということでしょう。

取り立て・催促が一切ストップ

弁護士・司法書士は依頼された時点で債権者に介入通知(受任通知)を送付するため、債権者は、債務者に対して催促や取り立てができなくなります。

全て間に入ってやり取りをしてくれるため、債権者と直接会わずに、借金の減額をすることができます。

毎月の支払いが楽になる

借金の減額、今後の利息のカット、返済スケジュールの調整を行うため、毎月の支払いが返済可能な額に減額され、3~5年の完済を目指すことができます。

これらの和解交渉を弁護士・司法書士に丸投げすることができ、利息が増え続けていつ返済が終わるのか分からない、といった不安がなくなります。

過払い金の返還が可能

場合によっては過去に払いすぎた利息の返還ができます。 出資法の上限金利(29.2%)での貸付を行っていた時代があり、この時期に借金をしていた人は、払いすぎた利息「過払い金」を返還できる可能性があります。

職業の制限がない

「自己破産」をすると、破産開始決定から免責決定を受けるまでの間は、警備員や各士業(税理士・社労士・弁護士)など一部就けない職業がありますが、「任意整理・個人再生」についてはこのような職業の制限はありません。

任意整理する借金を選べる

「個人再生・自己破産」は、全ての債権者を対象に手続きをする必要がありますが、「任意整理」は、一部の債権者だけ任意整理することができます。

任意整理をすると弁護士・司法書士が介入するため、債務者本人には取立行為がされなくなりますが、保証人にはその効果は及ばないため、請求が発生することになります。(そのため基本的には保証人の方も依頼する形になります)

A社からの借金は自分名義だが、B社は保証人がいるので迷惑をかけたくない、といった場合、A社の借金のみ任意整理することができます。

手続きが簡単で早い

裁判所を通す必要がないため、弁護士や司法書士に依頼した後は返済するだけでOKとなります。「個人再生・自己破産」は裁判所へ行く手間があり、実費で負担しなくてはならない費用が発生したりするため、「任意整理」は手間なく簡単に手続きができます。

任意整理の3つのデメリット

借金が免除されるわけではない

「個人再生・自己破産」の場合には、借金の一部または全部の支払いが免除されますが、「任意整理」は借金の減額を目的としているため、免除されるわけではありません。最長5年以内に支払いを完了させる必要があるため、毎月の支払いが発生します。

ブラックリストに登録される

これは「債務整理」のどの方法を選んでも同じですが、個人信用情報機関の事故情報(ブラックリスト)に登録されます。ブラックリストに登録されると、一定期間は住宅や車などのローンを組んだり、クレジットカードを作ったりすることが難しくなります。

ただローンが組めなくなる期間は「任意整理」の場合は約5年で、「個人再生・自己破産」の場合は約5年~10年と長いため、比較的期間は短いと言えるでしょう。

債権者が和解に応じないことがある

「任意整理」は裁判所を通さずに和解を図る「債務整理」のなので、債権者が応じてくれない場合があります。特に借入期間が非常に短期間の場合には、任意整理に応じてくれないことが多い傾向です。

ただ債権者側からの視点でみれば「自己破産」されてしまうと、債権回収が困難となるため、「任意整理」の申し出に全く応じない、という債権者は少ないと言えます。

任意整理の費用相場

費用は相談料・着手金・解決報酬金・減額報酬・過払金報酬の4つで構成され、相談料は無料としている所が多く、着手金・解決報酬金は1社あたり2万円~3万円が相場となります。

減額報酬や過払金報酬は10%~15%が料金相場となります。

費用金額
相談料0円
着手金/社3万円
解決報酬金/社2万円
減額報酬10%
過払金報酬15%

任意整理の費用相場は詳しく下記にまとめております。実際の弁護士・司法書士事務所の料金相場を掲載したり、費用を削減する方法を掲載しておりますので、ぜひご確認下さい。

まとめ

任意整理の最大のメリットは、「個人再生・自己破産」に比べて裁判所を通す必要がないため、気軽に利用することができ、知人や家族に知られることがない、ということでしょう。和解を進めていくため、比較的柔軟な対応や解決を図ることができ、余裕を持った返済スケジュールに変更してもらえます。

ただ借金が完全になくなるわけではなく、ブラックリストに登録されてしまう、ということは覚えておきましょう。ブラックリストに関してはそもそも借金がある状態なのでローンのことはあまり気にする必要がないかもしれませんが…。

債務整理は初回相談無料でできる事務所が多くありますので、まず一度相談してみると良いでしょう。

任意整理

任意整理

3~5年で借金を完済できるよう将来の利息をカットする手続きです。

個人再生

個人再生

3~5年で借金を完済できるよう、借金を5分の1に減らす手続きです。

自己破産

自己破産

全財産を現金に換金した上で、借金の支払い義務をなくす手続きです。